先日、min_t_blueという方が、このブログを訪れてくれた。
思い出したのが、大滝詠一氏のアルバムEACH TIMEに収録されている「ペパーミント・ブルー」である。
10、20代の人にミントブルーと言ったらガムなのかな?
30、40代なら間違いなく「ペパーミント・ブルー」と答える。
ガムの名付け親は絶対若くないはずだ。
さて、ご存じのとおり(ペパー)ミントは紫蘇科で、葉は緑色、つまり色は「ペパーミントグリーン」。
ペパーミントブルーなんて色は存在しないのだけど、清涼感や空色のイメージと重なって、ペパーミントブルーは架空の色としちゃ「あり」。
エレファントブレス(そんな色名がかつて実在した)なんかより、よほどしっくりいく。
「ペパーミント・ブルー」の作詞は職人・松本隆氏。
歌詞からサビ部分を抜き出してみると
♪
風は
ペパーミント
ブルーのソーダが
指先に揺れている
斜め横の椅子を選ぶのは
この角度からの君が とても綺麗だから
♪
そう、歌中ではペパーミント・ブルーは色名として登場しない。
あくまでペパーミントブルーではなく、ペパーミント・ブルーなのだ。
「嘘は言ってませんよ~、でもありそうな色でしょ?」
と、問いかけ、見事世間に広めてしまった。あっぱれ松本隆!
アルバム「EACH TIME」は大ヒットした前作「A LONG VACATION」の流れを踏襲し、当初「A LONG VACATION 2」として発売が予定されていた作品。
シングル用の2曲が諸般の事情で収録できないまま、1984年3月21日に発売。
「ペパーミント・ブルー」が、宣材の重荷を一身に背負うことになる。
結果、このアルバムは大ヒットしたものの、常に「A LONG VACATION」と比較されたあげく、ポップス史において殿堂入りすることなく終わる。
のちにシングル用だった2曲が追加され「complete EACH TIME」として再販。
当初収録できなかった2曲のうち、「バチュラーガール」については、英語としておかしいと指摘があり収録が見合わせされたのだが、そんなこと言ったらペパー・ミントブルーだって、「日本語としておかしい」と指摘があってもおかしくない。きっと、最初は「・」がなかったんだろうなと松本氏の苦悩を想像する。
大滝詠一氏については何度も書くことになるだろうと思ってたけど、最初は絶対「A LONG VACATION」についてだと思っていた。
まさか「EACH TIME」をこんな切り口で書くことになろうとは・・・
旅は意外性があるから面白いのだなあと、象のようなため息をつく僕であった。