最寄り駅で下車して家まで歩く途中、物陰に生まれて間もない子猫がいた。昨年夏のことだ。親は見あたらず、その場所は’ネコに餌をやらないでください・・・’の看板があるほどの捨て猫ポイントなので、この子たちも捨てられたと見て間違いない。白い子猫七、八匹がミャーミャーいっていて、人だかりができ、ちょっとした人気者となっていた。
日が経つにつれて、一匹また一匹と数が減っていったのは、おそらくやさしい人が連れて行ったからだと思うが、死んでしまった子もいたかもしれない。
とにかく、冬が訪れたときには三匹になっていた。
三匹の子猫は夜になると捨てられた場所に戻ってきて、ピタリ身を寄せ合い寒さに耐えていた。
隣が薬局で、時たま店員が内緒で餌を上げているらしい。それで生き延びている。
そして1月下旬、子猫は一匹だけが残された。
この子だけが、残される運命なのか?
いや、決して人には近づかないから、この子が一人ここに残ることを選んだのだろう。
自由はかけがえの無いものだけど、自由が多いほど苦しみも多い。寒さはことのほか堪える。
君の選択がとても辛いことを僕はよく知っている。
今夜はとりわけ寒い。
白猫は側溝で風を避けながら、いつ来るか知れない餌を待っていた。
もし、、もしもだけど、一人でいることがどうしても辛くなったら、僕の家においで。
そうしたら、、僕も、、、うれしい。